女性の鼠経ヘルニア
女性の鼠経ヘルニア

鼠経ヘルニアとは鼠径部と呼ばれる足の付け根付近で筋肉の隙間から臓器(腸や脂肪)がはみでるように飛び出して膨らむ状態です。
鼠経ヘルニアを調べると男性に多い、と書かれていることが多く、女性の方は「なぜ自分が?」と思ってしまうこともあると思います。
鼠経ヘルニアには2つのパターンあります。一つは中年以降に筋肉が薄くなったところから腸が出てしまう場合で、これは男性に多いです。もう一つは生まれつきになっている場合で、通常は子供のころに自然治癒または手術されることが多いです。この場合は男女同じように鼠経ヘルニアになります。
30歳代ぐらいまでの女性で鼠経ヘルニアになった場合は、生まれつきに鼠経ヘルニアが潜んでいた可能性が高いです。
女性の鼠経ヘルニアの治療

治療はやはり手術となります。妊娠を考慮する年代はメッシュという補強用の人工物は基本的には使用せずに弱くなった穴を縫合して閉じる手術を行うようにしています。鼠径部(足の付け根付近)の膨らんでいるところを約3cm程度切開する手術です。約30分で手術は終了し、手術終了後は2時間で帰宅していただくことができます。
生理と鼠経ヘルニア
鼠経部(足のつけね)が月経の少し前ごろに違和感やふくらみが強くなることがあります。異所性子宮内膜症という病状が関連していることがあります。
鼠経ヘルニアに似た水腫
Nuck菅水腫という鼠経ヘルニアに似た症状をおこす病状があります。ナックまたはヌックと呼ばれます。足の付け根付近が膨らむのですが、液体がたまった袋が存在し、鼠経ヘルニアのように臓器や腸がはいっているわけではありません。20~30代ぐらいで症状に気づいて来院される方多いです。
必ず手術が必要というわけではありませんが、症状をなくすためには手術しかありません。実際的には来院される約半分ぐらいの方が手術となっています。