
UMBILICAL-HERNIA
臍(さい)ヘルニア
大人の臍ヘルニア(出べそ・おへその出っ張り)の治療・手術について
臍ヘルニアについて
臍(さい)ヘルニア(おへその脱出)とは
へそヘルニアの正しい医学名称は「臍(さい)ヘルニア」といいます。一般的には「出べそ」と呼ばれる状態です。
おへそは、もともと“へその緒”がつながっていた場所であり、出生後も腹壁の筋肉や筋膜が完全に閉じきらずに構造的な弱点として残りやすい部位です。この腹壁の弱い穴(ヘルニア門)から、お腹の中の脂肪や腸管(小腸など)が皮下に飛び出してしまう状態を臍ヘルニアと呼びます。
小児の臍ヘルニアは成長とともに自然に治ることが多いですが、大人になってから発症・再発した場合は自然治癒が難しく、適切な治療が必要です。
大人の臍ヘルニアの原因と主な症状
- 大人の発症原因:大人になってからの臍ヘルニアは、妊娠・出産による腹圧の上昇、肥満、重いものを持ち上げる習慣、慢性的な便秘、激しいせきなど、持続的にお腹に圧力がかかることが主な引き金となります。加齢に伴う腹壁の筋膜の衰えも発症を助長します。
- 主な症状:「おへそが以前より突き出してきた」「おすとグジュグジュと音がして引っ込む」「おへそ周りに違和感や痛みがある」といった症状が見られます。最初は小さくても、時間が経つにつれて穴が広がり、飛び出しが大きくなる傾向があります。
- 最も警戒すべき「嵌頓(かんとん)」のリスク:脱出した腸管などが硬くなったヘルニア門に挟まり、お腹に戻らなくなってしまう状態を「嵌頓(かんとん)」と呼びます。嵌頓をそのまま放置すると、血流が途絶えて腸閉塞(イレウス)や腸管壊死(えし)といった命に関わる重大な合併症を引き起こし、一刻を争う緊急手術が必要になります。

当院の治療方針:臍ヘルニアは手術の前向きな検討をお勧めします
大人の臍ヘルニアは、自然に穴が塞がって治ることはほとんどありません。さらに、いつでも嵌頓(かんとん)を引き起こす潜在的なリスクを常にかかえているため、当院では「経過観察ではなく、安全なタイミングでの手術療法を前向きにご検討いただくこと」を強くお勧めしております。
経過観察について(当院の見解)
「飛び出している部分が極めて小さく、内容物も腸管ではなく脂肪組織のみであり、痛みも全くない」という例外的なケースを除き、大人においては放置による嵌頓の危険性(緊急オペのリスク)が常につきまといます。「痛くないから大丈夫」と放置せず、予防的観点からも早期の手術をお勧めしております。
当院の臍(さい)ヘルニア手術の手法について
当院では、ヘルニアの大きさや状態に応じて、安全かつ確実性の高い手術法を選択しています。いずれの手術も安全性を考慮し、全身麻酔下で行っております。
1cm未満の小さなヘルニアの場合
ヘルニアの大きさが1cm未満と小さな場合は、おへその皮膚を小範囲で切開し、弱くなった筋膜を非吸収糸(体内で溶けずに長期間しっかりと組織を支える糸)で直接縫合閉鎖する術式を行います。
1cmを超えるヘルニアの場合(メッシュ修復術)
1cmを超えるヘルニアについては、再発のリスクを軽減するため医療用メッシュ(補強シート)を用いた手術をお勧めしております。メッシュを使用した修復方法には、大きく分けて「前方切開法(開腹手術)」と「カメラを用いた腹腔鏡手術」があります。
当院が腹腔鏡手術をお勧めする理由
手術における「傷の大きさ」と「感染(細菌感染)のリスク」は比例する傾向があります。そのため当院では、傷口を小さく抑えながら確実な修復が行える腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、患者様のお身体への負担軽減と感染リスクの低減に努めています。
きちんと手術を行うことで、嵌頓の恐怖から解放されるだけでなく、すっきりと引き締まった美しい「凹みのあるおへそ」を取り戻すことができます。

臍ヘルニアの治療費用(健康保険適用)
当院では、患者様の経済的ご負担に配慮し、健康保険適用の手術・診療を中心に行っております。
以下は健康保険を適用した場合の料金の概算となります(体格、術式、詳細な検査内容により多少前後します)。
手術前(診察・検査費用)
臍ヘルニアの正確な診断および全身状態・手術適応を評価するため、初診・診察・エコー検査および術前検査を行います。
| 70才以上 1または2割負担 | 3割負担 | |
|---|---|---|
| 診察・エコー検査 | 1,000円-1,700円 | 約2,500円 |
| 術前検査 (手術が必要となった場合に追加) | 1,000円-1,500円 | 約3,000円 |
臍ヘルニア手術の費用
| 70才以上 1または2割負担 | 3割負担 | |
| 腹腔鏡補助下臍ヘルニア手術 | 約22,000円※ | 約80,000円★ |
| 前方切開法 | 15,000円-22,000円※ | 約50,000円 |
※70歳以上の方などで、自己負担限度額(上限)が適用される場合は22,000円となります。(2026年8月より改正)
★現役世代の方(3割負担)でも、高額療養費制度をご利用いただくことで実際の窓口負担を大幅に軽減できる場合があります。詳細はお気軽にお問い合わせください。
臍ヘルニアのよくある質問
創部はナイロン糸(溶けない糸)などで丁寧に閉鎖しますので、術後に抜糸が必要です。抜糸の時期や、抜糸後ご自宅で軟膏処置をお願いする場合などは患者様の創部状態に合わせて個別にご案内いたします。
デスクワークなどの軽作業であれば、手術翌日から復帰していただくことが可能です。ただし、重いものを持ち上げるような力仕事や、長時間の運転業務などお腹に強い圧力がかかる作業については、創部の治癒具合を確認しますので必ず事前に医師にご相談ください。
手術の翌日からシャワーが可能となります(創部の状態に問題がない場合)。浴槽に全身を浸けてのご入浴は、感染予防や傷口の保護のため、約1週間程度お控えいただいております。入浴・シャワー後は、創部周辺を強くこすらず、清潔で乾いたタオルで優しく押さえるように水分を取ってください。
手術翌日より、通常の日常生活における基本的な動きに厳密な制限はありません。階段の昇降や軽い散歩なども行っていただいて大丈夫です。ただし、動いた際に気分不快や創部の強い痛みが生じた場合は、無理をせず速やかに休憩を取るようにしてください。
電車やバスなどの公共交通機関のご利用は問題ありません。自転車やバイクの短時間の運転は差し支えない場合が多いですが、自動車の運転については麻酔や痛みの影響を考慮し、医師の許可が出てから再開してください。
食事は「腹六分目」くらいを心がけていただき、暴飲暴食はお控えください。また、当院から処方された内服薬(痛み止めや抗生物質など)を服用している間は、アルコールの摂取は必ずお控えください。
当院で日帰りでの臍ヘルニア手術をご希望の場合、以下の点にご注意ください。
【帰宅手段について】
手術終了後は院内のリカバリールームでしっかりとお休みいただいた後、約2時間ほどで歩行も可能となり、電車などでご帰宅いただけます。
ただし、ご自身での自動車やバイクの運転は、麻酔や鎮痛剤の影響による反射神経低下の危険があるため、絶対にお控えいただいております。
【入浴制限について】
手術当日のご入浴はできません。翌日からのシャワーは可能ですが、約1週間は浴槽への入浴をお控えいただきます。
【当日の付き添いについて】
ご家族の付き添いは「必ずしも必須」ではありません。お一人で手術を受け、お一人でお帰りになる患者様も多くいらっしゃいますのでご安心ください。
また、お付き添いの方が来院された場合は、リカバリールームでお待ちいただくことも可能です。
その他ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽に当院スタッフまでお尋ねください。
