Day Surgery Column
鼠径部切開法と腹腔鏡下手術との違い
日帰り手術コラム
鼠径部切開法と腹腔鏡下手術との違い
鼠径部ヘルニア治療に腹腔鏡手術が日本に導入されたのは1991年ですが、しばらくは鼠径部切開法が主流であり、組織と組織を縫い合わせる方法から、ポリプロピレン製のメッシュを用いたテンションフリー法が盛んに行われてきました。
外科医になって初めての手術に鼠径部ヘルニアを経験することも多いです。
人工筋膜と言われるメッシュ法は様々な形状、素材の工夫などが考案されて鼠径部切開法は多く行われてきました。 一般的に鼠径部切開法は、手術時間が短く、日帰りでの治療も多く行われております。
しかし、傷が大きく、痛みが多く、術後合併症の慢性疼痛のリスクが高いという欠点を指摘する報告もあります。鼠径部切開法には、組織縫合法、リヒテンシュタイン法、プラグ法、腹膜前修復法の4種類がありますが、現在はメッシュを使用する方法が一般的です。
一方、腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術は、傷が小さく、痛みが少なく、回復が早いという利点があります。 また、両側の鼠径ヘルニアや隠れたヘルニアも同時に治療できます。 しかし、鼠径部切開法と比べて手術時間が長くなる傾向があります。
腹腔鏡手術には、TAPP法とTEP法の2種類がありますが、どちらも熟練した技術と経験が必要です。 日本内視鏡外科学会技術認定医の資格がある医療機関が推奨されます。 内視鏡外科技術認定医とは、内視鏡下手術を安全かつ適切に施行する技術を有し、かつ指導するに足る技量を有していることを日本内視鏡外科学会が認定した医師のことです。
鼠径ヘルニアの治療については、方法論よりも如何に完治できるかが鍵になることは言うまでもなく、その中で患者さまの病態・既往や生活背景等を考慮した治療法を選択し提案・同意を得ることが重要です。
日帰り・入院の違いではなく、鼠径部ヘルニアの治療を専門に行っている医療機関での治療が、鼠径部切開法・腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術を受ける上で、大切な選択肢の一つになります。
現在、なんば坂本外科クリニックでは腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術と鼠径部切開法による鼠径ヘルニア根治術を外来日帰り手術で行っており、患者さまのニーズと何より安全性に最大の注意を払って診療をしております。大阪で鼠径ヘルニア・脱腸にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
なんば坂本外科クリニック 院長 坂本 一喜