Day Surgery Column

鼠径ヘルニア|術式②

日帰り手術コラム

鼠径部切開法2

なんば坂本外科クリニックは、鼠径ヘルニアの外来日帰り手術専門のクリニックです。鼠径ヘルニアの治療は手術しかありません。これは、医学が発達した現代においても変わることがありません。手術方法として、大きくわけて①鼠径部切開法(皮膚を2〜5cm切開して手術をする方法)②腹腔鏡手術(お腹に1〜3箇所穴をあけカメラで観察しながら手術をする方法)があります。前回に引き続き、鼠径部切開法の術式についてお話しします。

鼠径部切開法(リヒテンシュタイン)

 日本全体の状況では「鼠径部切開法」と「腹腔鏡手術」の割合は半々ぐらいになっていますが、最近は「腹腔鏡手術」の方が多くなってきています。「腹腔鏡手術」の方が確かに傷は小さいのですが手術時間が長くなり深い麻酔が必要となるデメリットもあります。  2024年に日本ヘルニア学会から「鼠径部へルニア診療ガイドライン2024」というものが出されました。私たち医師は、いろいろ情報を集めながら、こういったガイドラインに従って医療をおこなっています。  この中で手術の方法に関しては、十分に慣れた外科医がするなら腹腔鏡手術を推奨するが、腹腔鏡手術に適さなければ鼠径部切開法を推奨すると書かれています。また執刀医が習熟した手術方法を行うのが望ましい、とも書かれています(原文からわかりやすいように改変しています)。  たくさんの手術の方法がありそれぞれが一長一短ありますが、結局はベテランの外科医が慣れた手術方法でやるのが良い結果に結びつく、ということです。

日本における鼠径部切開法の術式は、使用するメッシュの形状により変遷してきたといえます。メッシュプラグ法が盛んに行われた後、クーゲル法・PHS法・ダイレクト・クーゲル法など、たくさんの方法が考案され、鼠径ヘルニアの治療に役立っています。最近の標準術式として「リヒテンシュタイン法」が推奨され盛んに行われるようになってきました。リヒテンシュタイン法は、1989年に米国の外科医Lichtensteinによって考案された手術方法です。なんば坂本外科クリニックでは、鼠径部切開法の患者さまには第一選択としてリヒテンシュタイン法を採用しております。外側から鼡径部全体をポリプロピレン製メッシュ・シートで覆い、縫い付ける方法です。そんな中で、大学病院などでは教育という観点から、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行う一方、鼠径部切開法も行われています。最近は大学病院から、リヒテンシュタイン法の手術見学・研修を希望される若手医師が増えています。腹腔鏡が盛んに行われている中、リヒテンシュタイン法の有用性も再確認されていると感じるこの頃です。

 

現在、なんば坂本外科クリニックでは腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術と鼠径部切開法による鼠径ヘルニア根治術を外来日帰り手術で行っており、患者さまのニーズと何より安全性に最大の注意を払って診療をしております。大阪で鼠径ヘルニア・脱腸にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

なんば坂本外科クリニック 院長 坂本 一喜

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